ROOTS futsal club(滋賀県)ロングインタビュー
SQUADRA STORIES
指導者ロングインタビュー
滋賀県 ROOTS FUTSAL CLUB 前田吉弘 監督
インタビュアー:営業部 山田勇介
協力:スポーツショップキムラ様
~チームの成り立ちを教えてください。
元々、地元のサッカースポーツ少年団の指導者をしていました。それが25歳からなので指導者として今年で23年目となります。
サッカーからスタートして、高校のサッカー部の友達とかとフットサルを遊びでしててというのがきっかけです。それで子供たちにこれは、絶対サッカー上達するトレーニングになる、って事で竜王サッカースポーツ少年団にいた子供たちを対象に自主練みたいな感じで、体育館でやり始めたのが2003年か2004年くらいなんです。
当時は滋賀だと、サッカーのトレーニングにフットサルはどこもまだやってないと思いますね。特に滋賀県はなかったと思うんですよ。それがスタートで2年くらいやった時にちょっと、サッカーの指導者“あるある”で少年団のやり方に合わないので辞めさせてもらいますって身を引こうと思ったんですけど。その時の保護者さん達が「いやいやフットサルを楽しんでやってるから続けさせて欲しい」っていう話をもらって。そしたらやろうかと。凄い迷ったんですけどね。
~チーム名の由来ROOTSと、その始まりについて教えてください。また、指導方針も確固たる信念がありますよね。
先も全然見えないし、やるんだったらクラブチームとしてと、2006年にスタートしたのがROOTS FUTSAL CLUBのスタートです。チームの由来にもなってるルーツの文字の通りの「原点」っていう指導方針の所にも関係してくると思いますけど、子供たちのフットサル技術の原点がルーツであるということと、心の故郷という意味があるんです。チームでよく言うのがピッチ上じゃなくてオフザピッチの方が大事だって。人間性の向上ですね。それが1番やと思うんです。
全員が全員JリーガーとかFリーガーになれる訳では無いので、「人間性の向上」、コミュニケーション能力とかを、子供たちによく言うんですが、当たり前のことを当たり前にやろうって。それがまぁなかなかみんな出来ないんですけど、そのへんが指導方針で、それが出来てやっとプレイも出来るよって。挨拶でも最近よくサッカーで見ません?ベンチ挨拶で握手をしに行くのを。
あれもただ単に言われてやってる子が多いと思うんです。うちは必ず両手で相手の目を見てすることと言うてるんです。顔も見ないで握手してる子供らたくさんいると思うんです。
あとやっぱり全て自己判断が伴うので、サッカーでもフットサルでもそうなんですけど、僕から指示が出ているようではもう既にプレイとしては遅い。いかに自分で判断できるかという所を練習ではポイントにしていします。だからロジカルコミュニケーション、言葉の部分とかがそうで、僕ちっちゃい時とかそうやったんですけど、やっぱり日本人ってお伺いをたてるっていうのが多いと思うんです。「トイレいってきていいですか。」と。
そんなのはトイレ行くかどうかは自分の判断じゃないですか。トイレ行きたいんだから、そういう時はどういうのって。「トイレ行ってきます。」って言うと思うんです。
入って来たばかりの子って、「このゴミどうしたらいいですか。」ってそんなの聞くことかなと。5km先のゴミ箱捨ててこいって言ったらわかりますけど、捨てるのかって当たり前のことを当たり前に自分で考えたら分かる事やろって。それがオフザピッチの部分。
フットサルの戦い方としては切り替え0秒というトランジション(攻守の切り替え)という部分、フットサルでいうトランジション、切り替えの速さで勝負しようということで。自分の判断でするっていうやり方をしてます。
理解力が1番大事になって、今どういう状況なんだろうかとかそれを分かっていないと今ここ早く攻めなきゃとかゆっくりでもいいのか、それをできるようになって状況的不利なのかサッと見て判断できる子。急がなくていいのに急ぐ子とかいるじゃないですか。まだ今新チームなんでそんな段階なんですけど、その辺はポイントにおいて指導はしています。
~具体的に学年で練習内容が違ったりと、基本的な取り組みはどのようなものが?
うちはセグンドとプリメイロという時間に分けてありまして、学年で割ってる訳じゃなくて。技術的な部分も必要ですが、理解力がとても大事なのでプリメイドテストというのがあります。筆記テストです。
チームのコンセプトってなんなのって話してたりしてしっかり答えられるのかとか、サッカーだとアバウトでも通用する部分あるじゃないですか。フットサルって凄い緻密で5人のプレイヤーが全員が理解していないとその戦術がハマらなかったりとか、1人わかってないとそこで噛み合わない部分があるので理解力という部分でも、話聞いてどう理解しているのか。なので4年生でも上のプリメイロのクラスに入れたりとか逆に5年生やのになかなか上に上がれないとかっていう子があったりします。 ただ6年になるとバーモントカップっていうのを経験させて上げたいんで全部上げるんですけどそれまでの過程で、4年生やのになんで上に上がってんのっていうのがテストでしっかりして日常で表現できるようにしています。
~どうしても学校教育に準じるみたいなところがサッカークラブにもありますよね。
それがダメで僕はスポ少やめたんです。学年担当コーチって区切ってあるでしょ。だと学年ごとにやり方って全然違ってくるし、逆にいったら、うちも違うところにスタッフ入れるんですけど全員で4人。僕のこの考えばっかりが通っててその他がダメなんかもしれないんですが、こういうコンセプトがあってのものなので。スポ少やってた時は各学年で全然違ってたりとか目指すものが違っていたりとかそこになんか違和感を感じたというか。
~お話を聞いていると、子供を子ども扱いしていませんね?
そうですね。なるべく距離感を近くに置きたいので、そうすることで子供の本質が見えて来るので、あんまりひどいと話し方だと注意することもありますけど、あえてフランクに話して、なんでも言いやすいように。
試合中でも「こうしたいねん」とか意見してくる子もいるし。「じゃあやってみようよ」って、そこは全然拒否しなくてそう思うんやったらやってみようやって。それでそこからまた子供たち自身にも気付きがあるし、「あぁーやっぱりコーチの言った通りやわ」という時もあるし子供のお前らの言ってる事の方が正しいって自分自身気づく時もあるし。
保護者の方に「もっと、あーせいこうせいとか言わないんですか。」って言われたことあるんですけど、いやいやそうじゃなくて自分で判断する部分やし、あんまりあーだこーだ言わない、練習の時にテーマ決めてやってあとはちょっと助言するくらい、ベンチで口うるさく言うのではなく、自分で考えて楽しくやってもらえたら。
~私たちはユニフォームの意味など一番気になります。教えてください。
一応最初うちができた時に大会に間に合わすのに時間が無なくて大阪の業者さんで作ったんですが。ラバーだと剥がれたら貼ってみたいなのがあったんで、うちの取り引きしているキムラスポーツさんにどっか昇華でかっこいいユニフォーム作ってくれるところないんですかって言った時にスクアドラさんを紹介して頂いたのが始まりです。
チームできた時にエンジとコンの縦縞っていうのが今でもあるチームカラーなんですけど、それがなんでやって聞かれると自分の好きな色で縦縞が好きで、「バルサとかが好きやったんで」、って言う訳でもないんですが色目的に、伝統カラーにしようというので。
「ROOTSのユニはエンジと紺の縦縞」随分浸透したと思います。バーモントカップの全国大会の時に、レギュレーションで対戦相手と色目的に審判からセカンド着なあかんと、バーモント準々決勝ベスト8の時はどうしてもROOTSカラーのエンジと紺の縦縞でと、譲りたくなかったんで審判はあかん言ったんですけど、いやうちはホームのファーストで行かしてくださいって押し切りました、相手ユニ、オレンジだし大丈夫でしょと。でも、試合は結局負けたんですけどね。
~正直最初は、胸マークにしてもここまでこだわるチームってすごいなと思いました。
エンブレムの中にルーツの名前とか四つ葉のクローバーがあってデザインしてもらったんですけど、意味があって四つ葉のクローバーって幸運の象徴じゃないですか。なのでルーツに関わる全ての人々に幸運が訪れるようにって意味を込めて四つ葉のクローバーに。
スクアドラさんやっぱりデザイン良かったんで、そこがめちゃめちゃ評判いいですよ。ルーツのユニフォーム、ピステもカッコイイ。
~フットサル界といまのROOTSの状況について教えてください。
まだまだ、フットサルってマイナー競技じゃないですか。
ちょっとフットサルやってくれるとこれ絶対サッカーにいいってわかってくれるんですけど、もっとフットサルが普及してほしいですね。
だからこそ、フットサルの大会でサッカーチームには負けたくないって、ずっとやってきてフットサルで滋賀といえばROOTSと随分認識はしてもらえるようになってきました。
フットサル全体で大きく言うと、前回のワールドカップを逃したっていうのがおおきかったかなーてありますね。それ迄の流れやとミゲルがカズを代表によんでフットサルが普通の時間帯にテレビに流れるそこまでいった訳じゃないですか。ただワールドカップ出られなかった。フットサルをもっと盛り上げて欲しいんですけどね。
結構うちの保護者もバーモントの予選とかでROOTSでは当番とかないので、その時初めてフットサルを真剣に見るとめちゃめちゃ面白いっていってハマる親が多かったりとか。
ただ、でもうちはあんまり保護者が何か言ってくることはまぁなくて任せてもらっていて、僕が最初にチームコンセプトを説明してこういう風にやります、と伝えます。
ただ、こちらからお願いすることもあります。バーモントカップ全国に向けては三位一体でお願いします。とお伝えしています。選手、指導者、保護者が一緒にならないと結果は出ませんよ、っていいます。ただ、「応援だけしてあげてください」とは言ってて子供にあーだこーだはしないでください。とは言ってありますけど。
子供って言われたことしかやらなくなるので、だからあまり言わないで考えさせられるようにしています。また最初の話に戻ってしまいますけど、自分で考えさせないとダメなんで言い過ぎないように。
子供たちを出す出さないは、一応うちはほぼ全員まんべんなく出すようには気を付けているんですけど、ただ勝負のあるような大事な部分だと、その出場にむらがあるんですが、それは今まで経験してきたこと、自分の弱さでもあるんだと思うんです。出てないから出してあげようっていうのは、どうしてもそこから試合の流れが変わってひっくり返されたとかもあって。
毎年ずっとバーモントはルーツやろっていうのがあって。出来て3年目、できた2006年が最初のチャレンジやったんですけど、そこ時の目標が決勝トーナメント進出。予選を勝ち上がって決勝まで残ろうやっていうのが最初の目標やったんですよ。
初年度でベスト16まで残ってくれて、で2年目もベスト8やったかな。で3年目の子たちがちょっとレベルがっていうのがあったんですけど、でも全然下手とかじゃなくて年度の初めにキャプテンになる子に「3年目やけど初めて決勝残れないのとちゃう?」っていう話をしたんですよ。
そしたら、その年3位になったんですよ。あとで聞いたら、俺に言われた言葉で発奮して見返したんねんっていうので。
そこで3位になって僕らの目標が変わって、バーモント全国いこや!ってなったんですけど、そこからが長くて、準優勝とかベスト4とかあと1歩が足りなくて、3年前がまぁいうたらかなり出来上がっていたチームだったんですけど、準決勝で前半5-0で折り返して、後半ちょっとした狂いから簡単に失点してしまって、そこからいっきに流れが悪くなり、終わってみたら6-6でPKで破れて準決勝敗退っていう経験があったんです。
ベンチワークの油断ですよね。その油断が子供たちにも伝わってしまって、まぁそこでもう1回勉強したというか、それまでも経験あるのになんで?と今でも思い返すと悪いことしたな、これは指導者のミスやって。
もうちょっとが足らんって、どうしたらいいんやって、仲良くしてる和歌山のアッズーロさんの決勝とか見に行ったりそんなこともしましたね。
それまではしなかったんですけど、神頼みもした方がいいかなと思って京都の白峯神社にもいって。それまではそんなの全然信じてなかったんですが、それも大事やなって。今では毎年御祈願に伺うようになりました。
やれること全部やる。
「1%のゴールを奪うための99%の準備や」っていって、一回成功させるのに99回練習せな成功しいひんでって、1回やって1回できるようなもんじゃあかんと。
だから、やれることは全部やろっていう。
ほんと少し少しの積み重ねでしかないと思います。「パルティード・ア・パルティード」そんな感じで指導しています。
バーモントカップ滋賀県予選3連覇目指し今年もやりきるのみです。
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